エピゲノムを介したトランスポゾンの発現調節

私たちは、生物が遺伝子と区別してトランスポゾンを制御するエピゲノム機構に着目しています。特に、クロマチン修飾、ヒストンバリアント、およびクロマチンリモデリング因子などがどのように協調してトランスポゾンを抑制するのか、そしてその機構が環境によってどのように制御されうるのかを、ゲノム生物学的な手法によって解明しようとしています。
エピジェネティクスとは、遺伝子が「いつ」「どこで」「どれくらい」機能するかを厳密に制御するシステムです。これは、細胞の種類や発生の段階、さらに環境の変化に応じてそれぞれ異なる特徴が示されています。動植物ゲノムには、 “動く遺伝子(トランスポゾン)”が大量に含まれています。このトランスポゾンの発現は宿主遺伝子の機能の撹乱や疾病の原因となり得ることから、遺伝子と明確に区別されて厳密に抑制されています。一方で、トランスポゾンにコードされる因子には宿主の抑制から回避する機構が存在し、進化の中で宿主との「攻防」を続けてきたことがわかっています。このような攻防は、ゲノムの進化に深く関わっていると考えられていますが、その詳細は未だ多くの謎が残されています。私たちは、モデル植物シロイヌナズナを用い、このトランスポゾンと宿主とのせめぎ合いを解き明かそうとしています。特に、クロマチン構造やエピジェネティックな修飾の動態に着目し、分子レベルから個体レベルに至るまで多角的に解析しています。
私たちは、生物が遺伝子と区別してトランスポゾンを制御するエピゲノム機構に着目しています。特に、クロマチン修飾、ヒストンバリアント、およびクロマチンリモデリング因子などがどのように協調してトランスポゾンを抑制するのか、そしてその機構が環境によってどのように制御されうるのかを、ゲノム生物学的な手法によって解明しようとしています。
最近の研究から、トランスポゾンにコードされる因子が宿主の抑制機構を回避するために進化してきたことや、トランスポゾンの転移先にエピゲノムが密接に関与することが明らかになってきました。当研究室では、これらの因子の分子機能を理解するために、試験管内再構成系や分子遺伝学によるアプローチによって明らかにしていきます。
トランスポゾンと宿主との間で繰り広げられるエピゲノムを利用した攻防は、新しい編集技術の基盤となる可能性を秘めています。私たちは、これらの分子特性を活かして、柔軟で特異性の高いエピゲノム制御ツールの開発を目指しています。
分子生物学、ゲノム生物学、遺伝学を駆使して研究することに興味のある学生さんを歓迎します。一緒にワクワクするような研究をしましょう!