ショウジョウバエ幼虫クチクラの形成機構
クチクラの主な成分はタンパク質とキチン(セルロースに似た繊維状の多糖)です。ショウジョウバエの幼虫の体を覆うクチクラから特定のタンパク質を除いたり、逆に加えたりすると、クチクラの物理的な性質が変化し、それによって個体の体型が異常をきたすことを見つけました。さらに、クチクラの中にあるそれらのタンパク質やキチンを直接観察することで、緻密な立体的構造をとらえることができました。これらの技術を用いて、クチクラの立体的構造がどのように編み出され、それがクチクラの物理的性質にどうつながるのか、明らかにしたいと思っています。
多様な昆虫のクチクラ形成機構
地球上の百万種以上の昆虫がそれぞれ、硬いクチクラ、色鮮やかなクチクラ、などなど実に個性的な性質のクチクラを作りだす能力を持っています。ショウジョウバエの研究で培った技術と知見を活かしながら、多様な昆虫が多彩なクチクラをつくりだす仕組みを明らかにしようとしています。
クチクラ形成過程の人工的な再現
表皮の細胞からタンパク質とキチンが産生されてクチクラを織りなしていく過程は非常に複雑で、生きた昆虫の個体でこまかく観察することは難しい、という課題があります。この過程を試験管やシャーレの中で人工的に再現することで、詳細な解析が可能になると考えています。